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2016年1月13日 (水)

地域外への販売強化政策の落とし穴

 前回は、地域に係る取引を4種類に分類し、地域活性化のためには、その中で域際収支が黒字になる取引が重要であることを示した。前回も示したこの図によれば、域際収支が黒字になる取引は(c)と(d)である。そして、地方自治体によっては、地域内の企業が地域外に商品を販売することを促す政策を実際に施行しているところもある。

 しかし、企業が自助努力として地域外への販売を強化する場合はともかく、地方自治体などが政策的に支援・誘導すると、情報化社会である現代では地域の空洞化を招く恐れもある。

 なぜ、地域外への販売の強化が地域の空洞化を招くのか、それを解く鍵は「情報化社会」にある。


前回のものを再掲)

 まず、情報化社会において、なぜ地域の活力が失われているかを考えてみよう。
 情報化社会が進展して、人々が情報を入手しやすくなると、行動するときの意思決定において、地理的な近さよりも情報的な要因が優先されるようになる。また、移動手段も豊富になっており、移動するためにかかるコスト(費用や労力)も下がっている。その結果、たとえば近くの食堂に行くよりも、少し離れていても評判の良いレストランや、好みに合ったレストランを選ぶようになるといえる。
 情報の流通は時間や距離に影響されにくいので、買い手が情報をより重視するようになると、自然に地理的な近さの重要性が下がり、結果として地域外の売り手を選ぶ機会が増える。つまり、(a)→(b)、(c)→(d)と右に向かうバイアス(傾向)が現れる。つまり、地域の赤字が増え、黒字が減ることになる。

 この対策として、地方自治体などが地域外への販売を強化するための支援や誘導を行うと、(a)→(c)、(b)→(d)と下に向かうバイアスが現れる。そうすると、赤字の分野から黒字の分野に推移することになるので、地域はその時点では黒字に転じると考えられる。

 注意しなければならないのは、これで右に向かうバイアスが解消されたわけではないということだ。つまり、両方のバイアスが続くと、結果的には(d)に推移する傾向となる。しかし、この分野の取引はこの地域で行う必要性が低いので、交通事情などの条件が変化すると、この取引は地域外に移転してしまう可能性が高い。つまり、将来的に空洞化につながる可能性が高いといえる。

 このような状況になることを防ぐには、右に向かうバイアスを解消させ、できれば左に向かうバイアスを発生させるしかない。地域外の売り手に関する情報が増加したために右へ向かうバイアスが発生したのだから、それを解消するには、地域内の売り手に関する情報を充実させるしかないといえる。

 地域内の売り手に関する情報を充実させるとはどういうことかについては、また改めて触れることにしたい。

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