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2016年1月10日 (日)

地域に関わる取引は4種類ある

 地域活性化には域際収支の改善が不可欠だということはすでに書いた。しかし、実際に域際収支(特に主体的な収入)を改善するためには、地域に住む人たちが何を考えていけばよいのだろうか。複数の場面を想定して順番に見ていきたい。

 地域に関係する商取引は、売り手が地域内か地域外か、買い手が地域内か地域外かを考えると、以下の4種類に分類することができる。この図に基づいて、域際収支がどのように動くかを考えてみよう。


(図は筆者作成)

 まず、(a)は地域内の人が地域内から購入する、「地産地消型」といえる取引である。
 たとえば、地域内で生産された農産物や地域産品を購入したり、地域内のサービス産業(理髪店やクリーニングなど)からサービスを受けたりする場合がこれに該当する。
 この分野の取引では、地域間のやり取りが発生しないので、黒字にも赤字にもならないように見える。しかし、実際には商取引を行うために経費がかかり、その一部は地域外からの購入になるはずである(燃料や包装など)。また、地域の産物を生産するためにも普通は地域外からの仕入れが発生するので、この種類の取引が増加すると、域際収支はやや赤字になる。

 (b)は地域内の人が地域外から購入する、「輸入・移入型」と呼ぶべき取引である。
 例えば、商店で地域外で生産されたものを購入したり、地域内の人が地域外に行って消費を行ったりする行為がこれに該当する。
 この場合、取引された金額がそのまま域際収支上の赤字になる。そのため、この種類の取引が増加すると、域際収支は赤字になる。

 (c)は地域内の人が地域外に向けて販売する取引、つまり「基幹産業型」の取引である。
 例えば、地域内の生産者が地域外にものやサービスを販売したり、地域外からの来訪者(観光客など)が地域内で消費をしたりする場合がこれに該当する。
 この取引は、地域に収入をもたらす主な手段となるため、地域にとっては最も重要な取引である。もちろん、この種類の取引が増加すると、域際収支は黒字になる。

 (d)は地域外の人が地域外に向けて販売する取引である。このような取引があるのかと疑問に思う人もいるかもしれないが、地域内の物流基地を通る取引や、地域外から来た人が地域外から輸入・移入した商品を購入したりする取引(たとえば、地域外から来た観光客が、地域外で生産されたお土産を購入する場合など)がこれに該当する。これは「中継取引型」といえよう。
 この取引では、地域の労働力や土地などを利用することになるため、少しであるが地域にも収入をもたらす。つまり、域際収支はやや黒字になるといえる。

 実際には、1つの取引が複数の種類に該当する場合が多い。例えば、地域外で生産された商品を、地域内の商店で販売した場合は、商品については(b)輸入・移入型に当たるが、販売については(a)地産地消型に当たることになる。
 ただ、域際収支を黒字にする取引が増えれば、域際収支の改善につながり、地域の活性化をもたらすことができるといえる。つまり、地域の構成員それぞれが、これを意識して行動すれば、地域の活性化につながるということになる。

 ところで、域際収支が黒字になる(c)と(d)の取引だけを増やせばいいのだろうか。また、(a)地産地消は域際収支や地域活性化に貢献しないのだろうか。
 実はそうではない。これについては、次回以降の記事で解説していきたい。

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