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2014年1月 4日 (土)

地域活性化につながる活動・産業

前回までで、地域活性化の本質は地域の持続性を高めることであり、そのためには域際収支の改善が必要だということを考察してきた。
それでは、地域においてどのような活動を行えば域際収支の改善ができるのだろうか。また、どのような産業が域際収支の改善には役立つのだろうか。今回はこの点を考えてみよう。

地域に地域外から直接富をもたらす活動をベーシック活動と呼び、またそのような性格を持つ産業をベーシック産業と呼ぶ。一方、地域内での活動を便利にするような活動をノンベーシック活動と呼び、そのような産業をノンベーシック産業と呼ぶ。

地域の持続性を向上させるためには、ベーシック活動(産業)を充実させることが必要である。しかし、ノンベーシック活動(産業)にも重要な役割がある。

地域の生産活動をベーシック産業(活動)ノンベーシック産業(活動)の2つに分類するという考え方は、1921年にオールーソウ (Aurousseau, M.) によって提唱され、ホイト (Hoyt, H.) やアレキサンダー (Alexanders, J.W.) によって明確にされてきたという。(戸所隆著「地域政策学入門」p.73, 古今書院, 2000年)

ベーシック産業とノンベーシック産業は、一律に業種で決まるわけではない。ただ、大まかに見ると次のような傾向になっている。

  • ベーシック産業の性格が強いもの: 製造業、農林水産業、鉱業、観光業など
  • ノンベーシック産業の性格が強いもの: 小売業、飲食業、建設業、サービス業、地方自治体、地域医療、地域金融など

もちろん、製造業や農林水産業であっても、地域内にしか販売活動を行わない場合はノンベーシック産業である。また小売業や飲食業であっても、地域外の顧客を中心に商売を行っている産業はベーシック産業と言える。
他に、運輸業のように両方の性格を持つものや、情報業のように業務内容次第で分かれる業種もある。つまり、ベーシック産業という言葉はあるが、業種で一律にベーシック・ノンベーシックの分類ができる訳ではない

地域の持続性を向上させるためには、ベーシック活動の充実が必要条件となる。つまり、ベーシック活動の振興なしに、地域の持続性の向上(=地域活性化)はあり得ない。
しかし、情報化・グローバル化が進んだ現代、製造業や農林水産業の充実といっても簡単なものではない。製造業はグローバルでのコスト競争が激化しているし、農林水産業についても、増産しても十分に買い手がつくとは限らず、むしろ豊作貧乏のように、産品が値崩れしてしまうおそれもある。これをどのように解決するべきかは、また後の記事で考えてみたいと思う。

一方、ノンベーシック活動についてはどうだろうか。現代ではほとんどのノンベーシック活動が、材料やエネルギーなどを地域外に頼っている。つまり、ノンベーシック活動は、直接的には地域の持続性を低下させる活動といえる。
しかし、ノンベーシック活動はベーシック活動を円滑にしたり、価値を高めたりする役割もある。たとえば、ベーシック活動をする人の健康を守ったり、気力を高めたり、ベーシック活動に対して優れたサービスやデザインを提供したりすることなどである。つまり、結果的にベーシック活動を支援することができれば、ノンベーシック活動も地域活性化に貢献できることになる。

ノンベーシック産業についての例として、地産地消運動を考えてみよう。地産地消運動は、自地域のノンベーシック産業からの購入を増加させようとする運動だといえる。これが地域活性化に結び付くのか考えてみよう。
地域内から商品の購入を増加させると想定した場合、次の3パターンが考えられる。

  1. 地域外から商品を買う代わりに、地域内の商品(割安)を購入する
  2. 地域外から商品を買う代わりに、地域内の商品(同額か割高)を購入する
  3. 地域外から商品を買う量は減らさずに、地域内の商品の購入を増やす

1.の場合は域際収支の改善(結果的には地域活性化)につながる。たとえば、地域外の飲食店を利用していた人が地域内の飲食店を利用するようになった場合、食事の需要には上限があるので、地域外の飲食店の利用機会が減少して地域内の飲食店の利用機会が増加することになり、その分だけ域際収支の改善に貢献する。

一方、3.の場合は地域内の商品を生産するために地域外からの購入が発生したであろうことを考慮すると、基本的に域際収支の改善にはつながらない。たとえば、地域内でアクセサリーを販売している店を守るために、地域内の人が必要以上にアクセサリーを買って支えるという場合、アクセサリー(やその原料)の調達費用の分だけ地域から出ていく資金が増加することになり、その分だけ域際収支は悪化することになる。

2.の場合は、もし地域内で商品を製造・調達するために地域外に支払った費用が、地域外から商品を購入するよりも安いのであれば、その活動は域際収支の改善(や地域活性化)に貢献しているといえる。しかし、そうでない場合は域際収支を悪化させることもある。
たとえばパソコンを購入する場合、地域内の店舗が地域外から仕入れる価格が、地域外の店舗から購入する小売価格よりも高いか同額なのであれば、購入元を地域内の店舗に移転しても域際収支の改善には(直接は)貢献せず、むしろ悪化させる可能性もある。

以上のように、ノンベーシック活動の場合はその内容によって、域際収支の改善に貢献したり、逆に悪化させたりする可能性がある。
ただ、ノンベーシック活動は域際収支への直接的な影響以外に、地域活性化のための重要な役割を果たすことがある。これについてはまた後日論じることにしよう。

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