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2014年1月20日 (月)

情報の外部効果と地域活性化

前回は、地域内の人が地域外の情報に頼ることが、地域外からの購入を促進し、域際収支を悪化させる構造が分かってきた。
ならば、地域外から購入してもらうためには、地域外の人に情報を受け取ってもらうことが必要ということになる。

しかし、情報やメディアの特性を理解せずに、ただ情報発信の量を増やしていると、効果が高まらないどころか、地域の持続性を低下させる原因になる場合もある。

地域の情報の発信量を増やせば、地域への観光客が増えたり、地域産品が売れたりして、地域活性化(地域の持続性の向上)につながると考えている人は少なくはない。しかし、単に情報の発信量を増やしただけでは逆効果になることもある。

それは、情報には外部効果があるからである。
情報の外部効果とは、情報を発信することが他の主体(主にライバル)の行動に影響を与えることである。
たとえば、ある企業が画期的な新製品を開発したとする。そして、知名度が高まり販売が拡大することを期待して、早めに新製品についての詳細な情報を発信したとする。この情報は買い手だけではなく、ライバル企業にも伝わる。そして、ライバル企業はただちに競合製品の開発に着手するかもしれない。このように、情報の発信がライバル企業の行動に変化を及ぼすことが情報の外部効果である。

※情報の外部効果について詳しい定義は、廣松毅/大平号声『情報経済のマクロ分析』東洋経済新報社、pp.30~31などを参照していただきたい。

これを地域の活動に当てはめて考えてみよう。
地域で画期的な取り組みを行い、その顧客を増やすために情報発信した場合、その情報を得た他の地域や企業がその取り組みを模倣したり、対抗策を採ったりする可能性がある。その結果、地域で行った取り組みの独自性が失われたり、他の地域や企業がそのアイディアにタダ乗りし、最初に取り組みを行った地域よりも注目されて成長し、最初に取り組みを行った地域が、逆にその買い手になる羽目になる可能性もある。そうすれば、情報発信したことが地域の持続性を下げる結果になる

情報の外部効果を抑えるにはどのようにすればよいだろうか。ここで注目するべきなのは模倣可能性である。もともと簡単に模倣できるような取り組みを逐一情報発信したり、大きな取り組みを詳細な手順などを含めて情報発信したりすると、模倣可能性が高まる。そうすれば、上記のように模倣されて取り組み損ということになりかねない。

たとえば、単一の店舗内のみで開発した商品や、地域の単純な特徴に基づいた商品、急ごしらえで作った観光資源などは模倣されやすい。一方、地域の文化・歴史・地域の特殊事情などを背景とした商品・観光資源や、地域の複数の企業が共同開発したり、競争を繰り広げたりしている商品は模倣されにくい。

つまり、商品や観光資源を模倣されにくいレベルまで育て、その結果だけを情報発信していくことが重要ということになる。

※なお、情報の外部効果の問題は模倣だけでなく、他者に競合製品の開発を促すという問題を引き起こす可能性もある。これは地域の競争力とも関係する問題であるため、また別の機会に取り上げる予定である。

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