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2014年1月25日 (土)

【用語解説】情報化社会とは

[情報化社会] ブログ村キーワード

『情報化社会』という言葉を初めて著書名に使用したといわれている林雄二郎氏は、著書『情報化社会―ハードな社会からソフトな社会へ』の中で、情報を「可能性の選択指定作用をともなうことがらの知らせ」と定義している(p.56)。

その上で、「社会の情報化とは、この社会に存在するすべての物財、サービス、システムについて、それらが持っている機能の中で、実用的機能に比して情報的機能の比重が次第に高まっていく傾向をいう」と定義している(p.62)。

私も基本的にこの定義を支持している。ただ、この定義はやや抽象的で分かりづらいところもあるので、もう少し噛み砕いて考えてみよう。

※林雄二郎『情報化社会―ハードな社会からソフトな社会へ』講談社現代新書、1969年。なお、現在は2007年復刻版(オンブック)が刊行されている。

(1) 情報とは――実用的機能と情報的機能

情報とは人間が行動や意思決定のために利用する知らせであるということは、すでに先日のブログ記事で書いた。

たとえば、私たちはコップを買うとき、店頭にたくさん並んでいるコップの中から選択することになる。この時、何を基準に買うコップを選択しているだろうか?

コップに飲み物が入るかどうか(実用的機能)を基準に選択する人は、現在の日本にはほとんどいないだろう。それよりも、コップのデザイン、手触り、材質、ブランド、すでに持っているコップや食器との相性、価格などに基づいて購入するものを選択しているのではないだろうか。つまり、実用性とはあまり関係ない機能で意思決定をしていることが多いのである。すなわち、この意思決定の元になった要素が情報的機能という訳である。

このように考えれば、情報は文字や図や音などで表現されているものばかりではないといえる。触覚、嗅覚、味覚などで感じるものについても、それが人間の行動や意思決定のために利用されるものであれば、情報であるといえる。

(2) 情報化社会とは

上記のように、林雄二郎氏は、社会の情報化とは実用的機能に対して情報的機能の比重が高まっていくことと言っている。
しかし、こう書くと、ふだん私たちが使用している「情報化社会」という言葉の意味との間にだいぶギャップがあると感じる人も多いだろう。多くの人は、情報化社会をメディアや情報通信技術が普及した社会または情報流通が活発になった社会という意味で捉えているだろうし、実際に「情報化社会」という言葉はそのような意味で使われていることが多い。

ならば、情報化社会はメディアや情報通信技術が普及した社会と捉えるのは間違いかといえば、そうでもないと私は思う。その根拠は下記の通りである。

すでに先日のブログ記事でも書いたとおり、情報は行動の失敗を防ぐための意思決定の根拠ということもできる。情報の活用によって行動の失敗が減少すれば、製造工場で実用的機能を欠いた不良品が発生することを抑えることができるし、消費者側の立場から見ても、不良品の販売が多い販売店を排除することができる。つまり、製造サイドと消費サイドの両方から、実用的機能を一定水準以上に保証するしくみが働くのである。
このような保証はどの社会でも存在するものではない。生産者が不良品の発生率に無関心な社会や、闇市が横行する社会では、このような保証のしくみは働かない。

実用的機能が保証された製品が充分な量以上に流通すれば、購買時に商品を選択する時の関心事が、実用的機能の有効性(実用的に機能するかどうか)よりも、情報的機能の充実(製品の好み)に移ることになる。
つまり、情報的機能の比重が高まった背景には、情報流通の活発化があり、メディアや情報通信技術の発達がそれを支えているといえる。

一方、情報的機能はメディアや情報通信技術で伝達しやすいものである(※例外もある)のに対し、実用的機能の有効性は、メディアや情報通信技術を通して検証するのは難しい。すると、メディアや情報通信技術が発達するにつれ、ますます情報的機能の重要性も高まるといえるのである。

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