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2014年1月12日 (日)

情報化が地域に与える影響

最近の地域経済の悪化には、情報化社会の進展が大きな要因になっていると考えられる。

こう言うと、「地方は通信事情が悪いから」「情報通信技術の進歩が早くて、地方は遅れているから」などと、情報通信技術への対応の遅れにその原因を求める声が多い。そして、地域の情報通信インフラの建設を急ぐような政策がたびたび施行されている。
しかし、情報通信技術(の進歩)は、情報化社会の中では表面的な出来事にすぎない。情報化社会はもっと大きな流れであり、地域経済の悪化の原因ももっと根深いところにある

この観点をきちんと考慮しておかなければ、地域で情報通信技術の導入を急いでも、地域経済の改善はおろか、むしろ悪化させる危険もあるといえる。

そこで、今回は情報と情報化社会、それによる地域経済の影響について考えてみよう。

情報と情報化社会

本題に入る前に、情報や情報化社会の本質は何なのか、整理してみよう。専門的にはさまざまな定義があるが、ここでは難しい話はやめて、基本的な概念のみをとらえてみよう。

情報として典型的なものは天気予報である。たとえば、今日出発して明日到着する宛先の天気が雨の予報だと知ったらどうだろうか。傘を用意したり、明日のお出かけ予定を中止したり、予定を入れ替えたりするかもしれない。つまり、情報は人間の行動や意思決定に影響を与えるもの、別な言い方をすれば、情報とは人間が行動や意思決定のために利用する知らせであるといえる。
もう少し踏み込んで考えてみると、なぜ、人が意思決定の時に情報を集めて利用するのかといえば、情報を利用することで行動の失敗を減らしたいからである。つまり、情報は行動の失敗を防ぐための意思決定の根拠ということもできる。

情報を利用して失敗を防ぐことができれば、情報は失敗を防ぐリスクの分だけ価値を持つことになる。先ほどの天気予報の例で考えれば、明日の天気を知ることで、お出かけが楽しめずに交通費や手間を無駄にしたり、服が濡れたりすることで損害を被ったりする可能性が減る。情報が持つ価値は、このような無駄になる可能性がある費用が上限となる。

そこで、私たちはさまざまな行動に失敗しないように、あらかじめ情報を集めて行動を選択する。そうすると、実際に行動している時間、手間、費用に比べて、情報を集めて意思決定を行う時間、手間、費用が増加してくる。このように、実際に行動する時間・手間・費用に対して、情報を扱う時間・手間・費用の比率が大きくなることが、情報化の本質といえるだろう。そして、情報化が進んだ社会が情報化社会であるといえる。
結果的に見れば、情報化社会は失敗が減少する社会ということもできるだろう。

情報通信技術は情報の流通を活発にするため、情報化を加速させる機能がある。現代の情報化社会は、情報通信技術の進歩なしには存在しないだろう。しかし、情報化(社会)の本質は失敗の減少であって、情報通信技術の進歩はそのための潤滑油に過ぎないという点に留意しておいてほしい。

情報化が地域に与える影響

情報化が失敗が減少する社会であれば、地域にとって情報化は歓迎するべきことだと思われるかもしれない。しかし、情報化が地域にもたらすものは、地域にとって歓迎できるものばかりではない。
発生する現象について、詳しくは後で考察する。ここでは情報化による影響と考えられるもののうち、主要なものをいくつか紹介しておこう。

まず購買行動について考えてみよう。
例えば、隣の地域にショッピングセンターができ、たくさんの店舗が営業を始めたという情報を聞いた場合、買い物を地域内の商店からショッピングセンターに移す人が増えるだろう。また、情報の流通が活発になることで、通信販売による購買が増える可能性もある。
その結果、地域外からの購入が増加するため、地域の域際収支は悪化することになる。
このように、地域外から情報が流入することで、地域外の情報に頼った購買行動が増えると、購買先が地域外に向きがちになり、地域の本来の実力以上に、域際収支の悪化が進むことになる。

また、産業、特にベーシック産業の代表格である製造業を想定してみよう。
情報の流通が活発化すると、材料や労働力の調達を最適化しようとする動きが地域を超えた形で(時には国境を超えた形で)進むようになる。
特に、製造に関する情報が蓄積されれば(つまり製造の失敗が減少すれば)、製造のために必要なスキルが低下することになるため、より安価な労働力が確保できる場所が有利になる。そうなれば、高いスキルをもとに成長してきた国内の製造業は、スキルが低くより安価な労働力と競争しなければならなくなり、地域の製造業は受注価格の低下や注文の海外などへの流出などによって、域際収支の悪化が進むことになる。

情報通信技術の進歩と言うと、どうしても地域の情報が世界中に発信できるようになること、それによってビジネスチャンスが広がることばかりが注目されがちである。しかし、一方でそれだけ地域内に入ってくる情報も増加し、その結果、購買活動が地域外に向かう(=域際収支を悪化させる)傾向が生まれることも忘れてはいけない。
かといって、情報通信技術の進歩を止めるとか、情報通信技術を使わないようにするというのも現実的な話ではない。地域活性化のためには、適切な情報管理の考え方(いわば、地域の情報リテラシー)が必要になってくると考えられるのである。

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