« 地域活性化とは何か (1)地域活性化の目的 | トップページ | Transitional HTMLを撲滅しよう! »

2013年12月31日 (火)

地域活性化とは何か (2)地域の持続性

前回、地域活性化の本質は地域の持続性を高めることだと説明した。そこで今回は、地域の持続性とは何かを考えてみたい。

経済学の観点から見れば、地域が持続できるかどうかは地域に入ってくる資金(=地域の総収入)と地域から出ていく資金(=地域の総支出)を比較すれば分かる。総支出に対して総収入が少なければ、やがて財産を使い果たして地域は存続できなくなる。

この[地域の総支出]から[地域の総収入]を引いたものを域際収支と呼んでいる。地域活性化、すなわち地域の持続性を測るためには、域際収支以外にも考慮しなければならない要因があるが、少なくとも域際収支が大きくマイナスのままでは地域は存続できない。つまり、地域活性化において域際収支の改善必要条件なのである。

人材(育成)こそが地域活性化だと主張する人も多い。私もその考えに異論はないが、地域活性化にとって域際収支の改善は目標であり、人材育成は手段の一つと考えるのが適切だろう。

域際収支を考える上で大切なことは、域際収支とは自治体の収支のことではなく、地域のすべての住民、企業、公的機関の収支のことである。つまり、自治体の収支が良かったとしても、民間の収支が悪ければ地域の持続性は低いことになる。

現在多くの地域では、すでに収支はほぼ均衡状態になっている。しかし、それは総収入に地方交付税や補助金、個人による仕送りなど、地域外からの対価を求めない(政策的な)収入が含まれているからである。こうした収入は、地域としては主体的でない収入であり、一見すると安定しているようにみえるが、国全体の人口が減少したり経済状況が悪化したりすれば減少する可能性があるため、実は不安定なものである。
(他にも地域として主体的でない収入には固定資産税などがあるが、これについては詳しい分析が必要なので、後で詳しく考えよう。)

そこで、地域が安定して持続していくためには、地域外からの主体的な収入の割合を増やしていく必要がある。主体的な収入とはどのようなものかといえば、

  • 地域外に対する商品・サービスの売上
  • 地域外からの来訪者(観光客など)に対する商品・サービスの売上

などである。

また、域際収支の改善には、地域からの支出を減らすことも効果がある。地域からの支出を減らすために有力な手段としては、

  • 地域内での消費のうち、地域内で生産したものの割合を増やす(地産池消)

という取り組みがある。但し、地産池消は地域の支出を減らすものであって、収入を増やすものではない。また、地域内産物の生産・流通のために、通常は地域外に対して何らかの支出が発生する。そのため、地域外から購入するものを地産池消に切り替えた場合は域際収支を改善できるが、地域外から購入する金額が減少しなければ域際収支を改善できるわけではないことに注意しなければならない。

※ここでは金銭取引を伴う活動のみを事例としているが、農家などで行われている物々交換なども、地産池消と同様の効果がある。

それでは、誰が域際収支の改善を意識するべきなのだろうか。基本的には、地域住民、地域企業、地域行政など、地域のすべての構成員が域際収支の改善を意識していかなければならないだろう。
1980年代までのように、域際収支に貢献しやすい製造業や農林水産業などが全国に立地していた頃は、一般住民が特に域際収支を意識しなくても地域に資金が回った。しかし、近年比率が増えている小売業や建設業などの産業は、必ずしも域際収支の改善に貢献するわけではない(むしろ悪化させることも多い)。
そのため、現代は地域構成員の一人一人が域際収支の改善(⇒地域の持続性⇒地域活性化)について考えなければならない時代になっていると言えるだろう。
(そのため、人材育成が地域活性化だという主張も正しいといえるのである。)

↓記事を気に入ってくださった方は、投票してくださると嬉しいです。
にほんブログ村 経済ブログ 地域経済へ
にほんブログ村

|

« 地域活性化とは何か (1)地域活性化の目的 | トップページ | Transitional HTMLを撲滅しよう! »

地域活性化」カテゴリの記事

コメント

南保さん、とても適切で分かりやすい事例をありがとうございます。
補助金など政策的な資金は、資金源がなくなったり、政権が変わったり、人の気持ちが変わったりすればなくなる可能性があるものであり、実は不安定なものだということを認識することが大切だと思います。

地元の人たちが収支の改善を考えていく上で、どのような観点が必要なのかという点については、また別の記事として書く予定です。

投稿: 藤本理弘 | 2014年1月 2日 (木) 00時30分

なるほど~。大変わかりやすいですね。

例えば前橋の中心商店街の活性化。
市がいくらカネを投入しても「不安定な収入」であって、商店街の構成者が自ら収支を改善するアイデア&行動を起こさなければ持続性はないということですよね。
市には政策的にバックアップする必要はありますが。

例えば沖縄。
辺野古移設で毎年莫大な資金が国から支出されます。
資金の投入の仕方にもよりますが、基本的には県民の主体的な発想がなければ継続的な収支の改善はありえませんよね。

そんなことを思いました。

投稿: 南保克巳 | 2014年1月 1日 (水) 03時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133556/58850524

この記事へのトラックバック一覧です: 地域活性化とは何か (2)地域の持続性:

« 地域活性化とは何か (1)地域活性化の目的 | トップページ | Transitional HTMLを撲滅しよう! »