銚子電気鉄道と銚子市
最近特に話題に上がっている銚子電気鉄道、異例の「お願い」をホームページに掲載して以来、全国から支援の声が上がっている。
他にも経営難の鉄道会社が多い中、どうして銚子電鉄がこれだけの支持を得られているのか、現在の銚子市の状況を含めて取材してみた。
千葉県銚子市は関東地方のまさに東端、尖ったところにある。銚子という地名は、先が膨らんだ半島の形が「お銚子」を連想させるところから名づけられたという。太平洋に突き出した形になっているため、周囲が海に囲まれており、市内に展望施設が3つ(犬吠埼灯台、地球の丸く見える丘展望館、銚子ポートタワー)もあることがこの地の景勝ぶりを表しているといえよう。
この地を走る銚子電気鉄道は、この地の観光客や地域住民の足として開設された鉄道であり、半島の付け根にある銚子駅と、半島の南端の漁港にある外川駅までを結んでいる。
銚子に到着したときにはすでに暗くなっていたので、まずは海鹿島の旅館で一泊。新鮮な魚料理に舌鼓を打ち、翌日に備える。
翌日は旅館から君ヶ浜を通り、犬吠埼灯台へ。このあたりは海水浴場になっており、オフシーズンの今は閉鎖された海の家などが放置されている。砂浜が減少しているのか、防潮堤を工事した跡も見られる。海岸に面して建立された文学碑、また水難事故で命を落とした人の慰霊碑など、碑が多く建てられているのも特徴的だ。
犬吠埼灯台に上る。99段の階段を上がって見える景色は、一面の海原のパノラマで絶景。灯台の中には小さい資料室があり、こちらにも灯台ならではの展示が行われており、興味深い。しかし、隣にある資料館は日本財団の支援で建設されたというが、展示内容は月並みである。灯台内の資料室との棲み分けが難しいのだろうか。
そこから犬吠駅に向かう。犬吠駅は敷地も広く、駐車場も用意されている。駅前には2両の電車が保存されているが、雨ざらしでだいぶ傷んでいる。犬吠駅の駅舎にも傷みが目立つ。
しかし、犬吠駅前の電車のうち1両を事務所にして、地元のボランティアの方々が観光案内をしていた。犬吠周辺や外川の手書きの地図を用意してあり、各施設の割引券なども配布してくれている。もう1両の電車は電車レストランになっているはずだが、「別事業開設のためしばらく営業休止」となっていた。犬吠駅の手焼きぬれ煎餅はとりあえず後で購入することとし、とりあえず犬吠駅を後にして、高台にある地球の丸く見える丘展望館に向かった。
地球の丸く見える丘展望館はまだ新しい建物。最近できた施設にしては小ぶりの施設である。しかし、その屋上から眺める景色は、犬吠埼灯台のそれよりもすばらしい。案内にもあるとおり、330度の大パノラマという売り言葉に嘘はない。2階は喫茶店になっており、景色を眺めながらコーヒーが飲めるようになっている。食券を買ってコーヒーを注文すると、障害者と見える方がコーヒーを届けてくれた。高台まで歩いて上ってきたところで、景色を眺めながら飲むコーヒーは格別。箱物を建設するばかりでなく、こうしたストーリー性のある観光を用意できているのが、銚子ならではの工夫なのかもしれない。
地球の丸く見える丘展望館から外川まで下りを歩く。外川の街は、いかにも漁村を思わせる街並みが特徴である。意外と空き家や空き店舗も少ない。飲食店が少ないのが残念だが、町の規模に対して無理な展開をしていない様子が好ましい。
外川にて一日乗車券「弧廻手形」を購入して電車に乗る。「弧廻手形」は、表面はイラストマップ、裏面には文字で観光案内が書かれており、初めて銚子を訪れる観光客にも親切な乗車券になっている。犬吠駅に行き煎餅を購入、そこから仲ノ町に行き、国内最小の電気機関車、デキ3電気機関車に会いに行く。仲ノ町駅の窓口には「デキ3を撮影の際には入場券をお買い求めください」と書かれている。もっともこの入場券、表面は通常の入場券だが、裏面にはデキ3または電車のイラストが印刷されており(購入時に選択できる)、撮影するまでもなく、ちょっとしたお土産としても欲しくなるようなものである。こうしたちょっとした気配りがあるのが銚子電鉄にはあるといえよう。こうした様子を見ると、銚子電鉄は自助努力でできることはほとんどやっているのだということが良く分かる。
観音駅に戻り、名物のたい焼きとたこ焼きを味わった後、銚子駅まで行ってタクシーで銚子ポートタワーに向かった。本当は笠上黒生駅から徒歩でも行けるらしいが、銚子駅発の帰りの特急の時間が迫っていたのでタクシーで行った。ここで気がついたのが、銚子駅前や銚子ポートタワー付近の街並みには空き店舗が多かったということである。銚子電鉄沿線にはほとんど見られなかった中心市街地の空洞化現象が、こちらには見られるのである。銚子電鉄には地元の方と見られる方も多く乗車していた。これが、公共インフラとしての銚子電鉄の存在感なのだろうかと考えた。
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